「この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方」トレーニングメモ1-1 ~プロの心構えを知ろう・所感~

 さて、タイトルの「この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方」を読み進めているが、とりあえず序章の課題が終わったので、第1章を読んだ所感について書いてみる。

榎本秋/榎本海月 DBジャパン 2019年03月
売り上げランキング :
by ヨメレバ

プロとして小説を書くことはマーケティングに通じると思った

 第一章は「プロの心構えを知ろう」という見出しになっており、文字通りプロを目指すためのマインドやプロの定義などについて書かれている。

 まず意識したのは、結局小説を書くということもマーケティングであるということだ。自分が少なからずデジタルマーケティングの分野に本業で携わっているからかもしれないが、プロとして小説を書くからには、自分が書きたいというだけじゃなくて、きちんと読み手の側にとって読みたいと思える作品が書けるかどうか、というところだ。

 ただ自分の書いた文章を世の中に発信するだけであれば、こんなブログ形式だってよいし、小説家になろうやカクヨム、ノベルアップ+といった小説投稿サイトだって良いわけだ。金さえかければ自費出版だってできるし、電子書籍で良ければそのハードルはもっと低い。

 ただ筆者の言葉を引用するならば、プロの定義とは、

「出版社から依頼を受け、報酬を得て作品を仕上げ、それが商業流通を経て読者のもとに届くのがプロ作家」

この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方  P.17

 だそうだ。そのために締切や責任が生じ、緊張感をもって作品を書ける人たちであるとも考えられている。

 これは今現在、デジタルマーケティングの領域で(主にシステム的なサポートではあるが)本業として飯を食ってる身としては、正直どの世界でも仕事というのはそういうものだとしてすんなり理解することはできそうである。

 顧客のペルソナを考え、ニーズを洗い出し、適切なサービスにて価値を提供し、報酬を受け取る。それは小説家としても結局変わらないわけだ。まあもちろん、理解できることと実践できることは違うのだけれど。

35歳にしては人生経験が薄いことは十分承知しているが

 本書ではプロ作家の心得として、「根性」や「心を強く持つ」といった精神論的な要素がピックアップされたりしているが、ニュアンスは必ずしも体育会系ではないので、その辺は実際に読んで確かめてみてほしい。

 自分が気にするのは他の「人生経験」「流行・情報へアンテナを立てる」というキーワードに関してだ。

 まず「人生経験」について。まあ人生経験が薄い、というのはもしかしたらSNSなどで同級生などの活躍やリア充っぷりを見せられた場合と比較しているだけで、意外と経験を積んでいる可能性もあるのだが、どうしても作家になるうえでマイナスな方面の人生経験の薄さを感じてしまう。

 例えば、「アーティストのライブというものに行ったことが無い」とか、「海外はおろか、国内の都道府県の半数は訪れたことが無い」とか、「20代~30代前半の青春をほとんどギャンブルとゲームで無為に費やしてしまった」とか、まあそういうネガティブな時間の使い方をしてきた準ひきこもりなので、今は仕事以外の人間関係はほとんど絶ってしまっている。

 まあだからこそ書けるストーリーもあるかもしれないが、基本的には人間を描かなければいけない小説にて、人生経験の薄さは致命的になりうる。

 だが、あまりそこは悲観的に考えないことにした。今更思いっきり外向的な性格になろうとは思わないし、出不精であることから改善しようとは思わない。自分のそういった性格を活かしたうえで、まず自分に似た境遇、もしくは外向的を演じて疲れ切っている人たちに勇気を与えるような作品を書くことはできるかもしれない。普通の就活や転職に有利な経歴や趣味を持っていたって、小説家になるためには不要かもしれないのだ。必要に応じて、これから新しい人生経験を作っていけばいいだけの話である。

 人生経験が足りないから、年相応の経験をしてないからと言って、悲観的に夢をあきらめることはしたくない。

 そしてもう一つ「流行・情報へアンテナを立てる」ということに対しても、正直苦手な分野の一つである。

 まず、ニュースや新聞を直視できないのだ。ニュースで取り上げられるのは、基本的には誰かの失敗談だと思っている。35歳にして世の中の話題についていけないというのは大企業で務める限りは必要な努力だと思うが、正直、人間関係が希薄で、ほぼフリーランスみたいに働けている今の現状では、自分の本業に関する知識を適当に仕入れるだけで、大抵は切り抜けられることができる。

 そういった情報のアンテナが必要ない環境にいてしまえば、自然と情報は取得しなくなるものだと思う。だから、これからは小説を書くために必要だな、と思う知識から徐々に獲得していけばいいので、これもあまり悲観的ではない。

 あとは、基本的にはニュースの見出しさえ見てれば、大体その出来事の背景にある人間関係や心情を推測することはできる。そういう1の情報から10や100の情報に拡大するための頭の回転には正直自信がある。とにかくこれからは小説家になるためにできることを地道に行っていって、目標達成のために、アンテナを張る必要があると思えたら実施すればいいかなと、いったん緩く考えることにした。

目指すのはプロなのかという問いに対して

 章の最後には、「プロを目指すのか、それとも」という小セクションがある。いろいろプロについての見解を述べた段階で、読み手の心構えの強さを確認してほしいという意図からだろう。

 自分の作品を世間に公開する機会が増えたというのは前述の通りだ。それでも、先ほど引用した定義のようなプロを目指すことが本当に自分にとって最良のことなのか。これはたぶんこれからいろいろな壁にぶち当たるたびに思うことだろう。

 自分の好きな世界を書き上げればそれで満足かもしれない。という思いも確かにある。

 だが、精神を病んで、ギャンブルなどに費やしてしまった無駄な時間を取り戻したいこと、この歳になっても栄誉・名声を手に入れたいという承認欲求があること。そして何よりも、ずっと小説家になりたいと思っては、たびたびあきらめてきてしまった、過去の自分たちへ、今人生で最も前向きに取り組もうとする決意ができていること、即興小説に参加することで、書くという喜びに目覚めたこと。これが自分にとって、いま一番夢中になれることとなった、この機会に、プロという具体的な目標を持たずして、いつ持つのだ。という自負がある。

 まだ若い。と言える年齢ではなくなっている。35歳ともなれば、業界では中堅でいられなきゃいけない歳であろう。それでも遅咲きでもいいから、プロを目指して、報酬を得たうえで、読み手も自分も満足できる作品を世の中に送り出したい。その気持ちがようやく芽生えてきたところだ。

 結果的にダメでも良いかもしれない。でも足掻けるところまで足掻いてこそ、たぶん、人生経験が薄い自分に、濃い体験を与えてくれるのは間違いないはずだ。それを今は人生の楽しみにしていきたいのだ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする