「青春サステナブル」が人生の幸福であることに「焼肉ライク」へ行って気づいた話①

「青春サステナブル」

 これは僕の造語です。一応、2020年1月上旬の段階では、このワードで検索した場合に上位に出てくるのはAKB48の曲に関する情報だけ。

 どうやら昨年夏に発売された「サステナブル」というシングルのカップリング曲が「青春 ダ・カーポ」というらしいです(現時点で曲は聴いてない)。

 ただ、完全一致検索では2件のヒットで、いずれにしてもこのAKB関連と思われるサイトしか引っかかりませんし、この言葉自体に意味を持たせている人はいないようなので、今のご時世検索しても出てこない言葉は造語と言って差し支えないでしょう。

「持続可能性のある」という形容詞を「青春」にかけて、文法的には倒置したこの言葉ですが、これを追い求めることが自分の幸せだということに、「焼肉ライク」という外食チェーン店にハマったことから気がついた――そんな一見意味の分からない話をしてみます。

近況と肉欲

 昨年9月の更新を最後に、ブログも放置していました。

 8月頭くらいまでは、ノベルアップ+への小説投稿を続けていて、それはそれで楽しい感覚を味わっていたのですが、5年間付き合ってきた彼女との雲行きが怪しくなり、2019年8月8日、ダブル末広がりの日に別れることになりました。

 小説にかまけていたことが原因というわけではなく、まあもっと原因はあるのですが、その辺の話はまたいずれということにして、とりあえずその後1カ月くらいは意気消沈です。

 何とか、8月末締め切りギリギリに、規定の10万文字を達成したところで燃え尽きました。その後はめっきり書けてません。結果としては1次選考通過・2次選考落ちというものでした。

 そりゃあ、何とか規定文字数に達したとは言え、物語的には全くの序盤。核となるテーマにも触れていない状況でもありますし、初めて書く長編小説というものだったので技術的にも至らぬ点は多々あるでしょう。

 むしろ、1次選考にいきなり通ってしまった。上位15%には入ることが出来た。ということにも満足してしまった部分はあります。少なくとも1次に通るということは、小説という体は成していたのでしょうし、当初の目標であった「小説を書き始めて1年で、1次選考通過」は達成できたので、その後は放置中です。

 多少は読んでいただいていた人には申し訳ないですが、これはこれで別に続きをあきらめたわけではないので、その話も追々……。

 小説を書かなくなった代わりに、意気消沈している間、仕事中以外はひたすら据え置きゲームで現実逃避をしていました。そして精神状態が安定して立ち直ったあたりで、仕事の方が忙しくなりつつも楽しくなり、ここ2、3カ月は仕事人間です。

 年末年始、実家にも帰らず、ひとりでできる仕事や勉強を黙々とやっていました。年末年始らしい行動と言えば、片手で数えられるくらいのわずかな年賀状を書いたことと、大みそかにセブンイレブンのかき揚げそばを買って、年越しそばとしたくらいです。他人が仕事をしていない時間は、ひとりの作業に集中できるので、カレンダーで9日間ある今回の年末年始は絶好の仕事日和でした。

 しかし、三が日も最後になろうかという2020年1月3日――。

 激しい衝動が僕を襲いました。

 それが「肉欲」です――。

「に、肉が食いたい……」

 何でしょう。人間あまりに人との関わりが無くなると寂しさのあまり人のぬくもりを求めたくなるのでしょうが、それが俗物的に「肉」に変換され、三大欲求のひとつである食欲に昇華し、単純に「焼肉が無性に食べたい人」と成り果てたのです。

「焼肉ライク」との出会い

 さて、困りました。

 なぜって、僕はこの年末年始、徹底的にひとりだったからです。

 というより、年末年始に限らず、35歳独身・彼女なし・そして後述の理由により気軽に遊びに行ける友達も皆無で、家族も身近にいない僕は徹底的にひとりでした。会社の人とはそれなりに上手くやれていますが、とはいえプライベートまで踏み込むことはほとんどないですし、ましてやまだ三が日。一般的には家族や大切な人と過ごす時間です。それを邪魔するような無粋はできない、というか誘っても来るわけないでしょう。

 でも無常なるかな、焼き肉店というものは往々にして複数人で行くことが前提の作りとなっています。「おひとりさま」が増えて、ひとり焼肉というジャンルも確立されたとは言え、少数派には違いありません。

 そんな僕のこれまでの対処法としては、2名用のカウンター席がある近所の牛角に、昼飯を抜いて開店時間である16時の直後、まだ客がほとんど訪れることのない時間に食べ放題(お気軽コース:税抜2,980円)を頼んで、満足するまで肉を食い、客が入り始めるころには颯爽と勘定を済ませて店をあとにする。

 これが最もストレスフリーなひとり焼肉のメソッドでした。

 35歳独身男で、いくらひとり焼肉が世間でも認知され始めているとは言え、混雑するような時間帯に、ましてやテーブル席ひとり占め、なんて大それたことはできません。周りは思ったほど気にはしないのかもしれませんが、人の目があることによって肉が不味くなっては本末転倒です。

 なので、今回の肉欲衝動もそれで乗り切るか、と思ったところなのですが、問題はその衝動が起きた時刻が午前の10時だということです。

 牛角はランチがありませんので(知る限り)、少なくともあと6時間は衝動に耐えなければなりません。これは厳しい。このままでは11時には開店するであろう中華料理チェーン店で生姜焼きでも頼んで気を紛らわそうとしてしまいそうですが、それではこの肉欲を完全に鎮めることはできません。

 その後、再び16時に牛角に行ったとしても、中途半端にブランチを食べてしまうことによって、食べ放題で満足いくまで肉を食うということができず、どっちつかずになってしまうことも目に見えています。

 僕は迷わず文明の利器を使います。「ひとり 焼肉」で検索します。ただ、あまり期待はしていませんでした。かつて上野にひとり焼肉専門店があり閉店したことは何となく知っていましたし、もしよい店があったとしても、この肉欲と空腹で都心の西側に住む僕が上のあたりまで出て行くのは、それはそれでハードルが高い。僕は肉を欲するデブでもあり出不精でもあるのです。

 検索結果一覧。マップや最も上位に来るのは、一応ヒットはするものの、どうやら僕の求めている「ひとり専門」の店ではなさそうです。ただ自然検索の2番目あたり、「1人1台の無煙ロースター」という単語がひときわ目につきました。

 そう、それこそが僕と「焼肉ライク」の邂逅だったのです。

ひとり焼肉の神に入信

「焼肉ライク」はチェーン店のようでした。ウェブサイトで見る限りいくつか店舗がありましたが、この際、質などはどうでもよかったのです。牛角だってチェーン店ながら、肉欲は少なくとも満たしてくれる上質な肉を提供してくれます。高級な焼肉店も一応は経験がありますが、確かに旨いとは思うものの、思う存分肉欲を満たしたいという場合には不向きです。とにかくコスパですよ、そういう時は。

 幸い、自宅から行きやすい新宿西口店があったので、迷わずそこに出かけることにしました。

 色々と準備をしていたら到着したのは11時半ごろになっていましたが、正月にもかかわらず、結構な盛況ぶりです。角席にはつけませんでしたし、隣にもあとから人が来たりしたので、若干落ち着かないかも、という印象はありましたが、でも、すべての席はカウンター。一人客も多い様子ですし、話している客も二人連れという感じなので妙な安心感を得ることができました。

 三が日の昼前から、ひとりで焼肉を食べにくるという人たちに対して、仲間意識というのが芽生えたのかもしれません。

 注文は目の前のタッチパネルから行います。この辺が牛角とも違ってよいですね。ひとりだと店員さんに肉の追加注文をするのにも気をつかってしまいます。

 肉欲を満たす目的で来たので、一番それを満たしてくれそうな「メガ盛りセット 300g(ごはん小盛):税抜1080円」と試しに「サンチュ(価格忘れ)」を頼んでみました。本当は肉450gのバージョンもあったのですが、流石に手始めとしては300gでも様子見としては多いくらいでしょう。

 結果的には、トータル500gの肉と、ご飯をお代わりし、焼肉食べ放題に行ったくらいの満足度を得ながら、2,500円ほどと、食べ放題よりも安く済んだという圧倒的な体験をすることになりました。

 この時点で、ヘビロテが確定。その後1月はまだ半分も終わっていないですが、すでに4回足を運んでいます。月に4回も焼肉に行く時点で、35年の人生の中で初の出来事です。それくらい「焼肉ライク」は神がかっていました。

 まだ「青春サステナブル」という文脈にたどり着いていませんが、次回、「焼肉ライク」の神がかり具合と、そこから導き出される青春について持ち越そうかと思います。

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