リベンジャーズ・ハイ(著:呂暇郁夫)(ガガガ文庫)|読書感想文

 昨日割と張り切り過ぎたせいか、今日は少々停滞気味でした。こういう不調の波に負けじと、切り替えていくことが大事ですね。やっぱり創作は長期戦だと思うので。

 ということで、執筆活動はあまり進みませんでしたが、レーベル新人賞作品の研究は続けておりまして、今日は「リベンジャーズ・ハイ(著:呂暇郁夫)」を読んでおりました。こちらの感想を書いていきたいと思います。

 昨日の「 千歳くんはラムネ瓶のなか 」と同じく、 最新の第13回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞作となります。 具体的なエピソードは記載しておりませんが、物語のテーマ的なネタバレは含んでいるかもしれませんので、未読の方はご注意ください。

呂暇 郁夫/ろるあ 小学館 2019年06月18日
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純粋な異能バトルアクションがかっこいい

「千歳君はラムネ瓶のなか」でもかっこいいという感想を持ちましたが、あちらは主人公の考え方や現実の世界観の中での振舞いがかっこいいものでしたが、こちらは、異能の世界で繰り広げられるバトルアクションのかっこよさが際立ちます。まったく正反対の作風と言っていいでしょう。

 ライトノベルとしては、こういった異能アクションもの、近未来ライトSF的設定の世界観は好みなので、純粋にアクションシーンを楽しめました。

 バトル系の醍醐味は、やはり主人公がどれだけ強い能力を持っていたとしても、それを上回ってくるライバルの数々が登場し、主人公の想定外にバトルが進まず、どうやって切り抜けるんだろう? といったピンチにハラハラしてしまうシーンが何度も訪れるので、高揚した気分が止まりませんでした。

バトルだけじゃない、裏の裏をかく設定に驚く

 主人公は、基本的に仮面を脱ぐことはありません。この仮面を装着している理由としての世界設定は納得できるものではありますが、他の登場人物は素顔を見せるシーンもあり、仮面を脱がない理由について、しばらくは悶々とすることになります。

 でも、わりと序盤でその仮面を脱がない。人前では素顔をさらさない理由が読者に明かされるときにまず驚きがあるのですが。そこまでは、驚きつつも納得できる理由なのですよね。

 そこでまあ物語の見方が変わり純粋にバトルアクションをや人間模様を新たな視点で見られる楽しみを得られたのもつかの間、実はその設定の裏には、さらに二転三転するギミックとミスリードが隠されていて「え、おい、まじかよ!?」となるレベルの普通では思いつかないキャラクターの背景に度肝を抜かされました。なので、何で何で? という疑問を抱いたまま今度はド派手なアクションが繰り返されたりして、物語の重厚感が半端ないと思いました。

友情? 恋愛? 今まで見たことのない結末

 上記の、ある意味常軌を逸した設定によって、頭から蒸気が噴き出るような興奮を覚えた後に、すべての伏線が回収され、その後に待ち受けてるエピローグでは、友情や恋愛といった人間関係の単純な言葉では表わせられない感情が描かれていて、それを表現する術を自分は持ちません。

 でもそれがとても爽やかであり、今までに味わったことのない感覚でしたが、とても清々しいものになっていました。それがなぜ生まれるのかは、物語の中心になるギミックが最大限に生かされているからだと思います。これは本当に感服いたしました。

 この感覚は、ぜひとも一読いただいて多くの人に味わっていただきたいなと思える一品でした。

まとめ

 最初に挙げたバトルアクションについては、王道な異能系の能力ではありつつ、オリジナルな背景を付け加えることで、バトルアクションにオリジナリティがありますし、とにかく二転三転する主人公をめぐる設定のギミックが、重厚な読後感を残してくれるという素晴らしい作品でした。

 また今日も純粋に一読者として、そして小説家を目指そうとする視点でも、とても良い時間と刺激を頂きました。感謝感激です! ありがとうございました。

呂暇 郁夫/ろるあ 小学館 2019年06月18日
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