ピンポンラバー(著:谷山 走太)(ガガガ文庫)|読書感想文

 今回も小学館ライトノベル大賞の新人賞受賞作の傾向把握のために、ガガガ文庫の過去受賞作を読んでみた感想を書いていきます。

 ラノベにしては珍しいのかどうかわかりませんが、今回はスポ魂ものである「ピンポンラバー(著:谷山 走太)」を読みました。第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作となります。

 物語自体のネタバレはしないつもりですが、テーマ的なネタバレは含むかもしれませんので、未読の方はご注意ください。

谷山 走太/みっつばー 小学館 2018年06月19日
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ストレートなスポ魂に爽快感しかない

 タイトルやカバーの通り、当たり前ですけど卓球のお話です。

 ここに奇をてらう要素は一切なく、ストレートに卓球というスポーツの魅力を押し込めた物語となっており、ちゃんと安心して読めました。

 自分も昔バドミントンをやってたためか、サッカーや野球のようにメジャーではないスポーツをきちんと面白く書いてくれると嬉しい気持ちになります。最近はバドミントンも日本は強いですし、卓球もプロリーグが出来たりして注目度が高いので、マイナーなスポーツと言ったら怒られますかね。

 作品中でも卓球はマイナーという表現はありますが、それでもそのマイナスイメージを払拭するような爽快感あふれる試合展開や戦術に深みを持たせるための各キャラクターの個性などが溢れていて、読んでいて清々しい気分になりました。

ラノベ的要素もきちんと忘れない

 卓球としての魅力は十分ありますが、それでもやっぱりこれはライト文芸ではなくライトノベルなので、やっぱり中二臭さも必要かと思います(いい意味で)。

 そうした期待を裏切らないように、各キャラクターにきちんと二つ名が用意されていたり、熱い必殺技がここぞというところで出てくるので、きちんとライトノベルとしての勘所も押さえてるなあと思いました。

 でも例えばテニスの王子様みたいなもはや人智を超えた必殺技ではなく、きちんと現実レベルであることも良いですね。レベルに男女差が無かったりする点などフィクション的要素も強いですが、そこは嫌味にならないレベルで通っているので、ちょうどよいバランスなのかなあと思いました。可愛い女の子が強くなかったら、男子向けラノベとしては物足りないですしね。

やっぱり王道だから面白い

 繰り返しに近いですが、ストーリーはもしかするとありがちな王道かもしれません。

 結構強いけど、まだまだ伸びしろがある主人公に立ちはだかる強敵たち。そしてツンデレ(あまりデレないけど)ヒロインとの協力関係、物語を色づけるユニークなキャラクターたち、そして卓球への純粋な熱い思い。

 こういった王道的な要素をきちんと描けるということも、きっと小説を書く上での面白さの秘訣なんだろうなと感じました。王道のニーズに応えつつ、オリジナリティを出すのはすごく難しいだろうと思いますが、この作品はそれがぴったりマッチしている気がしました。

まとめ

(いい意味で)をつければ許されるという節であえて言うなら、いい意味で頭を使わずリフレッシュできる爽やかな作品でした。

 今週は仕事が忙しく、今日も夕方まで出かけていたため、なかなか創作の方に取り組めていなかったのですが、そういう疲れたときに活力をもらえる作品だったと思います。

 また良い時間を過ごさせていただきました。ありがとうございます。

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